佐々木紺さん主催のBL句会におじゃまして参りました。
楽しい体験をさせていただいたので、つたないながらレポートさせていただきます。
(当日のコメントなど、わたしのうろ覚えなのでニュアンスが多少異なっているかもしれませんがご容赦下さい)
→ご一緒したきよにゃさんによるレポートは
★こちら★
会場は神戸市内、繁華街からもほど近い某会議室。
ど緊張しながらご一緒してくださったきよにゃさんとドアをノックすると、庫内灯第二号の準備会議のまっただ中。
おうおう、我ら聞いたらあかんのんとちゃうん? と、隅っこで萌語りしたり、お隣のスーパーまでおやつと飲み物を買いに行くなどしてから、14時に句会がスタート。
参加者は11名。(11人居る!)
「いちげんさんも歓迎」とのことなので、庫内灯で俳句に興味を持ったど素人としてひょっこり顔を出したところ、きよにゃさんとわたし以外は庫内灯寄稿者様方のプロ&セミプロの集い!
マンガ書きさんでもいらっしゃるきよにゃさんが初対面のみなさんのお顔とお名前を覚えるために、と描かれていた
みなさんの似顔絵(クリックで元のつぶやきに)
みなさん似てるしかわいい!
ら「きよにゃさんわたしも書いて~」
(※きよにゃさんとは何度も会って遊んでもらっています。笑)
きよにゃさん「髪型くらいしか雰囲気出なかったしまんまるになっちゃった、ごめんね~」
ら「だいじょうぶ! わたし丸いからあってる!笑」
コテでちびちび巻いた内巻きカールの再現ありがとうございます。笑
自己紹介が始まったあたりでそうそうたるメンツに囲まれていることに改めて気づき、やばいぞこれは、とどきんちょうしながらまずは自己紹介。
「BL小説を書いてます、高梨來です。性癖がやばいです」
どんなやねん。笑(優しさ攻めとあざとい誘い受けとツンギレが好きです)
紺さんに庫内灯の句で書かせて頂いた解凍小説(ブログに掲載ぶんをまとめたもの)のコピー本をお渡ししたのですが、とても喜んでいただけてはずかしにました
(オフでお会いした方にてみやげがてらにお渡ししている非売品であります)
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さて、ここから本格的に句会スタート!
まずは句会の流れの説明からです。
- 参加者が短冊に無記名で書いた二句を投句
- 清記用紙に句の一覧を書き写す
- 参加者は一覧の中から「俳句として優れている」と感じた三句を並選、萌えツボを刺激された萌え選を一句選ぶ。
- 順繰りに皆の選んだ句を発表し、集計。得票数の多い作品から順に、なぜそこにぐっときたのかを発表しあう。
- 票の入らなかった無点句が悪いわけではない、ニッチな萌えを追求することも大切なことです。
- 無点句の方にはベストマイノリティー賞として石原ユキオさん特製のカードが配布されます。
これが噂のねがてぃぶ絵葉書だ!笑
さて、句会開始! まずは手元に配られた句を見ます。
わぁ、さすがのクオリティの高さとあふれる個性! どれもすてきなのですが、自分なりに字面や言葉の響き、テンポに詩情あふれる美しさを感じた物に並選、なんだかぐっときたぞ! と思った作品に萌え選を捧げます。
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不肖わたくしの投句の二句はこちら
手袋は無くしたままに冬超える
※漢字を越える、にしなきゃいけないのにテンパっていて間違えたという初心者クオリティ。笑
【作者コメント】
高梨には俳句が分からぬ!→自分が書いたシチュエーションを句に圧縮すればいいんじゃね?→手袋を忘れて出かけたら彼氏が夜道でコートのポケットに手を入れて手を繋いで帰ってくれたから、手を繋いでほしくて手袋はなくしたまま冬を過ごしました。
バンプオブチキン!(スノースマイルの歌詞にそんなフレーズがあったから)ベタい!
【鑑賞コメント】
手を繋いでくれた彼氏とは秋頃に別れちゃって、喪失感を抱えたまま冬を越すことに。
彼女持ちの男が好きな主人公は好きな男が恋人からもらった手袋をこっそり片方だけ持ち帰った。(岡田さんのこの萌えの可能性がすごい!)
相手の家に手袋を忘れてしまい、取りに行くことも出来ないまま、喪失を抱えて彼は一人で冬を生きている。
解釈が逆!? 確かに言われてみると、無くしたまま=相手の存在ごとの喪失と二重の意味をかけると萌えが広がります。
小説の感想から思いがけない読み解き方を教えていただけるのもすごくうれしいのですが、17字の限定された世界観故に、みなさんが生で「その先」に見えた世界を教えてくださるのってすごく楽しい。
マスク越し吐息をかわさず口づけす
【作者コメント】
冬の季語をみた時にぱっと浮かんだ初めての句でした。
なんか間接的なのがそれっぽいと思いました! 冬の冷たい空気! 布地越しのかさかさしたもどかしさ!
【鑑賞コメント】
マスクとれよ! これは練習のチューなのか!?(男同士なら好奇心やらなんやらでありそうですよね、練習のチュー。練習のつもりがその気になったりとか、片方だけ相手に片思いしてたりするんだよ)
相手をおかせない躊躇いを感じる
これは両方マスクしてるのかな?
計22句が投句されたのですが、それぞれ想起される場面が当然違う!
詩情的な美しさの中にきらめきがあったり、ほのぼのしたり、生活感を感じられたり、エロかったり。笑
萌えツボがあう人同士がいるのか、みなさん選ぶ句がかぶっていたりするのも面白い。
この日生まれた名言:
「BL的つきすぎ」
BLだから、とわかりやすいストレートな萌えシチュを閉じこめてしまうと読み手の想像の余白が足りなくなってしまう。
17字の中に、広がる光景・相手との関係性を想像させる余地を盛り込んだ「これって何なの?」な引きがある方が俳句としてはより映える。
数千・数万字単位でおのれの萌えを閉じこめるのに馴れているBL小説書き勢のわたしときよにゃさんは関心しきりです。
☆わたしの選んだ萌え選☆
寒晴や生活力のない男 佐々木紺
生活力のない男!!(萌え!)
これはあれですよ、まほろ駅前シリーズの行天です。薄汚い松田龍平です。(やまだないと「コーデュロイ」のミフネリュウセイも浮かびました)
寒晴や、と晴れ晴れしい冬空のすがすがしさと清冽な空気の下、毛玉だらけのすり切れたボロいコートの生活力のない男(ヒモ?)と彼をほうっておけない男が浮かびます。
【鑑賞コメント】
冬でも便所サンダル(貧乏くさい感じで)
寒晴れや、がいいですよね。
よしながふみの「それを言ってはおしまいよ」の作詞家の男だ!
言葉の響き、連なりの美しさと想起させる情景、生活力のない男という萌えの塊のような存在感よ!
生活力のない男についてあれこれ考えたわたしは勢い余って小話を書きました。
→
アシタハレカナ、クモリカナ
☆気になる一句☆
並選としてセレクトした作品ですが、その後TwitterのTLにも投下され、話題をかっさらったかかり真魚さん(庫内灯第二号の編集長様です!)の句がこちら。
冬野にはいつも女装のジュンがをり かかり真魚
【鑑賞コメント】
ジュンって誰だよ!?(正井さん)
潤一郎とかなんかもっさりした名前で、冬野っていうくらいだから田舎の何もない場所にすむジュンは女装のアウトロー。
現実と非現実の狭間にいる世間から切り離されたみたいな存在。
いつもいる、というところに安心感を感じている。(けれどきっと、主人公とジュンの世界は完全には混ざらない)
ら「ジュンは体が弱い子で学校にいったことがない世間知らずなんですよ。で、家族にも放任されて女装でふらふらしてるんです。雪の野原の中に着物姿のジュンがいるんですよ」
調子に乗ったわたしはジュンの解凍小説を帰宅した晩に書きました。
→
ぼくのえいえんののはら
Twitterに投下後、たちまち起こる「女装のジュン」ムーブメント。
この一句で女装のジュンアンソロジーができるのでは、という勢い。みんなの中に居るジュンはどのジュンもすごく魅力的です。
ノーパン神父に続き、真魚さんは世界を開く新しい存在を見いだす才能の持ち主でいらっしゃいますね。
さて、後半からは二組に分かれて
袋回し会。
お題に沿って即興で俳句を作っていくのですが、まさに瞬発力勝負!
俳句をまともに作ったことがないのにできるのか!? やればできる!
テーマを折り込み、17字の世界にいざ圧縮! 頭の体操的な楽しさと、即興ならではの勢いあふれるライブ感がありました。
あっとう間の区会は、これにて三時間の尺を終えることに。
BL俳句は四季折々の過ぎゆく情景の美しさ×そこにいる「人」が描く心象風景のあり方を描くもの
余白の余韻に自分なりの萌えを詰め込め!
解釈違いはむしろ大歓迎! 17字だからこそ、制限されない中で自由に自分の萌えで思考を開いていい。あなたの萌えはわたしの新たな萌え。
ど素人なりに参加させて感じた印象はそんなところ。
去年大好きなBL作家さんに出会って(それまでは共有結晶やよしながふみのマンガを読み物として楽しく読んでいる程度でした)、自分なりに見よう見まねでBL小説を書くようになってがちふじょしに仲間入りしたのですが、使用前・使用後くらいに大きな変化がありました。
一言でいうと、生きているのが前よりもずっと楽しくなりました。
BL萌えというのは違う視点を持つことで得られる新しいきらめきで、俳句の17音の形式には、そのやわらかで優しいきらめきを閉じこめるのに適した魔法のリズムがあるんだな、と改めて思いました。
庫内灯編集部のみなさま、改めまして、あたらしいときめきを教えてくださってありがとうございました! ど素人すぎたので、次回までにはもうちょっと俳句を勉強しておきます!笑
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