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調弦、午前三時

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アマビブチャンネルのこと

【アマビブチャンネルのお話】



現在参加させていただいている文芸同人誌のオンライン即売会イベントである尼崎文学だらけ(通称あまぶん)内での「書籍に寄せられた推薦文をもとに本を紹介する」WEBラジオ、「アマビブチャンネル」(#アマビブ の詳細はこちら)にて「黒い犬」を紹介していただきました。
推薦者の服部匠さん、主催のにゃんしーさん・泉由良さん、ゲストの尾内以太さん、ありがとうございます。

由良さんはカクヨムでのウェブ版を読んでいただき、にゃんしーさん・尾内さんは未読(尾内さんとわたしは面識がない)という三者の状況が違うことで、立体的に「この本はどんな本なんだろう、こんなところが期待できるんじゃないか」というおしゃべりが繰り広げられていて、大変うれしくはずかしく、光栄でもありました。
読んでくださった由良さんの「面白い」という言葉にたいへん励まされたことをここでお伝えさせてください。
すごく大切にしていること、書きたかったことを書いたので自信はあるのですが、客観的に「面白い」かどうかはわからないので…笑
心のスイッチを押しにかかるようなくだりがあるので、読んでくださった方はつらい気持ちになってしまうかもしれませんが大丈夫ですか、というのはちょっとあります。
あまぶんに集まった本もそこに寄せられた推薦文もたいへんクオリティの高いものばかりで、あれだけ注目度の高い作品が集まる中で取り上げていただけたのがすごくうれしい…生きててよかった。笑


*

「黒い犬」は自分の進むべき道に迷った小説家の主人公・アレンが教会で暮らす青年・ディディに出会ったことで、見失いかけた「物語」を書くことへの思いや、自身が成し遂げたいことが何なのかを取り戻していく――という筋立て。




作中で彼が書く「牧師様一家に飼われているおしゃべりをする黒い犬がみなの悩みを告解室で聞いてくれる」という作中作の設定をもとに作品を寄せてもらったのがアンソロジー「ダレンと5つの心の扉」です。
なぜ彼が「おしゃべりをする黒い犬」の物語を書くことになったのか、タイトルに冠された「黒い犬」とは何を意味しているのか、などは本編を読み進めていただくことで明らかになります。

にゃんしーさんにも、推薦文を寄せてくださった服部匠さんと鳴原あきらさんのコメントにも「繊細な表現」という言葉をいただき、小説と本人とは別物とはいえ、繊細さなどかけらもない人間なので照れますね…。
わたしは小説や音楽がとても好きで、表現の中で描かれる、心の震えが閉じ込められたかのような繊細な美しさに焦がれているので、そういったものを作品の中で表現できていたのならうれしいです。
「黒い犬」はカクヨムで全文を公開していて、書籍版にはWEB版にない「彼」からのあとがきが、WEB版には番外編の短編がいくつか載っています。


推薦してくださった服部匠さんのWEBカタログはこちら。
嫉妬や不安や迷い、様々な息苦しさをやわらかく包み込み、そっと背中を押してくれるような作品テーマとヤングアダルトの系譜を継ぐ軽妙でやわらかなタッチが魅力です。


*

男性ふたりの強い心の繋がり、絆を描いた作品ではありますが、この二人の関係は恋愛ではありません。意識してそういったものを書いたというよりは、彼らが彼らであるからそうなった、という感じ。
わたしは作品内で描かれる性描写も含めてボーイズラブというジャンルがすごく好きなのですが(BLジャンルにおいて性描写がほぼ必須でありながらきちんとした年齢制限がないこと、性別に関係なくノンセクシャルの恋愛物語があまりに世の中にないことへの疑問や問題点は一旦置いておいて)既存の大きなわかりやすい枠組み(ロマンチックラブイデオロギー・親密な関係からの性行為への発展)に回収されない物語を求める気持ちがあるからこそ、ブロマンスや名前のない関係性と呼ばれる類のジャンルが注目されるのかな、と思います。
ブロマンスという言葉が『発見』された時、『彼らには女性の恋人や配偶者がいたりもするが、彼らふたりの絆はゆるぎないもの』というたぐいの解説があったように思うのですが、『彼らは恋愛関係にはなりません』というある種の保証のために『彼らはゲイ【なんか】ではありません!』と主張しているかのようなホモフォビアを感じてしまうんですね。
親密な女性同士の物語に【GL】と冠されている時の『この物語内では女性同士で愛をはぐくんでいきます、いずれ男性と結ばれて"妻"になる、という形で引き裂かれることはありません』というのにも繋がるのだろうか。
『自分が求めている物語』がジャンルとして確立されていないからこそ『この関係にはまだ名前がない』と言わなければいけなくなるのかもしれないし、『同士』に出会うためのハッシュタグの必要性が話題に上がるというか…。

『恋愛』にはあてはまらない・性的関係を結ぶことを当然のゴールとしない強い希求関係が求められている、というのはわかるのですが、なんというか、身近な存在として共に生きる大切な人をありのままに愛することはそんなに難しいことなのだろうかと個人的には思ってしまいます。
現代社会を生きているとあまりに異性愛規範が強すぎて、自身でも気づかないうちにそれらを内面化してしまい『恋愛ではないはずなのにこんなにも強い感情を抱いてしまうのは不自然だ』と思ってしまうからなのだろうか…。
「黒い犬」はおとなのためのお伽話として描いている物語で、作中の世界では異性愛も同性愛も隔たりのないもの、として受け止められているある種のパラレルワールドなのでああいった関係性を書けた、というのもあります。

個人的には、恋人や(擬似)家族の関係に至るのだとしても、友人や親しい隣人、仕事上のパートナーの関係なのだとしても、互いに慈しみや愛を寄せ合うことで繋がり合おうとする人たちのあり方を物語の中で描きたいのかな、と思います。
心を寄せること、愛することをあるがままに赦されている関係性に優しさや救いを感じるのかもしれません。

誰のことも疎外しない、誰のことも傷つけないものはきっと書けないけれど、自分が受け取ってきたたくさんの愛ややさしさに報いることが出来るようなものを書くことが出来ないだろうか、というのがいつも根底にあります。


*

★あまぶんのWEBカタログ「午前三時の音楽」のページはこちら★

あまぶんには3冊まで作品を登録することが可能になっていて、現在は「黒い犬」をめぐる2冊の本を登録させていただいたのですが、新しく書いた3冊目を登録させていただきたいな、と思っています。
ひとまず書き終わってはいるので、仕上げたらペラっとしたコピー本にでもしたいな、せっかくだからzine系のイベントなどにおじゃまできたらな、などと考えています。
コロナ禍をきっかけにベランダ越しに言葉を交わしたお隣さんと距離が近づき、主人公の男性はぼんやりとお隣さんのことを好きで…と言う感じのお話で、「お隣さん」は以前書いた「まよなかの頃」という作品に出てくる遠峯さんです。
とりあえず仕上げられるといいな…割とちゃんと焦らないといけないのでは。


【推薦文のはなし】
あまぶんにはカタログに登録された本に推薦文を寄せることが出来るようになっており、たくさんの人たちの推薦文を読めるようになっています。
参加者/非参加者含めて同人誌の書き手さんが多く参加されており、作品に寄せられた言葉から個々人の文章力やセンス、着眼点、お人柄がありありと伝わるところがとても興味深いものとなっています。
個人的に、感想と作者さんにお伝えする言葉(ファンレター)と推薦文は自分の中ですべて別物なので、簡単なものではありますが、推薦文はすべてあたらしく書き下ろしています。

わたしが推薦文を書かせていただいた作品

「ゆきのふるまち」くまっこさん
「ポケットがゴミでいっぱい」柊らしさん
「星間滑翔」壬生キヨムさん
「蒼衣さんのおいしい魔法菓子」服部匠さん
「育児アンソロジー2 こどもはかわいい こどもはたいへん」主催:ななさん
「磯の口止め」桜鬼さん

次に出会うどなたかの「好き」につながることができれば嬉しいです。


【最後に近況報告のようなもの】
いま現在の(どんどん混迷していく)状況を見ているとまだしばらくはお友だちにも会えないしイベントにも出られないな、たまにひとりでさっと出かけるくらいなら大丈夫なんだろうか…大丈夫であってほしい、しかしまあいい加減寂しいな、というきょうこのごろです。

Q らいさん、出かけられないし人にも会えないのに服を買っていますね。
A 生きがいっていうか憂さ晴らしっていうか…

結果どうなるのかというと、いまだに下ろしてない服が増えるんですね。笑
こんないまだからこそお気に入りの服を着てワクワクする楽しい気持ちを忘れたくない、というのもあるのかも。

運動不足ゆえの体力のなさがさらに加速しているのではと思い、一月ほど前からフィットネスに通い始めました。
体力作り目的なのですが、まんまるの顔が心なしかシュッとしてきたので次にみなさんにお会いできるときにはいい感じにパワーアップして搬出の箱を軽々持ってTRCの2階から1階へのあの道のりを鼻歌まじりに荷物を運べるようになりたいですね。
いやそれは無理なのでは…。
とりあえず去年の文フリ大阪で着る予定だったドレスをらいねんあたりには着たいです。


世の中には見過ごしてはいけない問題がたくさんあり、自分自身が不勉強であったり、考えの定まっていない部分もあり、日々いろいろなことに思いを巡らせては考え続けています。
怒りや疑問に感じることほど声を上げて意思表明しなければ、とも思うのですが、強い言葉を使う勇気があまりなく、はっきりとした言葉で論じてくれるひとさまに思想や怒りをアウトソーシングしてしまうのも違うような気がして、結局言葉を濁してしまいがちで…。
言いたいことは作品でだけ書きます、と言い切れるほどあらゆる意味で強い作家でもないですしね。

思想の方向が合う・多少の方向性の違いはあったとしてもきっと対話が出来る、と信頼しているお友だちにもこの状況下では会えないからもやもやが余計にたまるところはあるんだろうな。
とは言え、『とっておきの場所のために選んだ服を着てお友だちに会う』という今まで通りの行動を選んでしまうことが終わりのないこの日々をますます長引かせるのかもしれない、と思うとやっぱりやるせないです。
さびしいし人恋しいんですよね、要するに。

物語を、そこに閉じ込めた思いや、寄せさせてもらった感情についてお話をさせていただくこと、こと同人誌となれば受け手と書き手の距離感が近いため、双方向での対話が実現することにすごく救われているのですが、こうして長い間人に会えない状態になってしまうとそのありがたさをますます実感させられるな、と思います。
場を作っていただけることに心から感謝しつつ、『楽しく遊ばせてもらう』ことで盛り上がりに貢献できればと思う次第です。




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