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調弦、午前三時

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2020年を振り返る



「こんにちは、忍とらいさんの楽しいクリスマス会2020を描いたから見てください」
周くん「毎年このスタイルでいくことにしてるらしいけど、初見の人を鮮やかに置き去りにしていく感じがある意味潔いよな」

忍は拙作の小説「ほどけない体温」に登場するキャラクターです。(周くんは彼氏という名の保護者です)
なぜか絵を描いてくれるしわたしにかわってよく喋るのでしばしば周くんとふたりで当ブログの進行係を務めてくれるのですが、なぜなのかは作者のわたしにもよくわかりません。

こちらは年末年始恒例の振り返り企画、創作TALK 2020−21に参加しております。
例年通り役に立つことは一切書いてなければ画像も多いしとても長いです。

参考までに過去三年分はどんな感じか見てみましょう。
☆2019年☆
☆2018年☆
☆2017年☆


【自己紹介】





周くん「らいさんっていうかほとんどおまえの自己紹介だな…」
「フォローしてくれる人がたまに増えるから自己紹介しなきゃなって思ったんだよね」

高梨來は2014年から文学フリマに出展するようになり、一次創作文芸同人誌即売会を中心に活動しています。
趣味はおでかけ、美術館とカフェ巡り、洋服、読書、旅行、工作などなど。
おたくだけれど比較的アウトドアよりな趣味なので2020年の激変に大打撃を受けたことが一目瞭然ですね。(とてもかなしい)


【ざっくりした雑感】
生活が変わらなかった人なんてきっと誰ひとりいないし、見過ごしてはいけない事件があまりに多く、社会への不安や不信感は募るばかりで『問われる』ことがますます多い一年だったなぁと思います。
(ポリティカルコネクトレスに関する話題は2019年よりもさらに激化した気がします)
(断罪されているかのようで苦しい、とも思いますが、いままで「見過ごされてきた」ことにちゃんと視点が当たったということなので、とても大切なことだと思います。社会から一方的に押し付けられた「正しさ」になんて従ってたまるか! 創作はもっと自由なものだ! という気持ちもありますが、無知によって人を傷つけてしまうことと、自覚と責任をもって表現を「選ぶ」ことの間には大きな壁があり、とても重要なことだと思っています。)

こと2020年に関しては例年以上にこんな年だったのに生きててものすごく偉いということに尽きると思います。

CDやレコード・配信などで音源を聞くこと、映像でライブや映画・ドラマ・アニメを見ること、端末や紙の本で言葉に触れることなど、家の中にいてもあらゆる芸術と出会うこと・扉を開くことはいくらだって出来るし、『部屋の中にいても自分の足ではたどり着けない遥か遠い場所へいざなってくれる』というのは芸術の果たしてくれる大きな役割で喜びではありますが、『不要不急』の名のもとに生の作品と向かい合うこと/未知の出会いに触れること の機会が大きく奪われたのは大きな障壁になったなぁと痛感させられました。
美術館や映画館が長期間閉鎖されていたこと、楽しみにしていた展覧会が中止されてしまったのがほんとうにつらかった。

週末になったら何を着てどこへ行こう、お友達に会えるからどんな話をしよう、と心のよすがにしていたものが……ものの無惨に……。
毎年恒例のように来る台風に豪雨災害、各地で相次ぐ地震、と、自然の驚異の前にはなすすべもないということに尽きるとは思うのですが、本当にいろいろな目を背けていたものがウイルスの恐怖を目の当たりにした世の中で明らかになってしまった。
「いつかの先のお楽しみ」だと思っていた行きたかった場所、なじんだ場所、かわいいお洋服を作っているアパレルブランドもどんどんなくなってしまいましたしね。
今年前半は特に、もろもろの生活環境の変化によるストレスがつらかったです。

もっと明るい話に軌道修正すると、出かけられないしお友だちにも会えないのでお気に入りのお洋服が全然着られなくてフラストレーションがたまりました。笑
あんなにかわいいのに着てもらえなくてもったいないしかわいそう。
そんな中でもなんだか服をたくさん買ってしまい……いつ着れるんだろうね!?
かわいい服を着ておでかけができないと心がカサカサになってしまう……常にマスクをしなきゃいけないのでリップメイクができないのもとても悲しいです。
秋冬の可愛い新色を見ててもため息しかでないや。

あれ、暗いよ!!! 楽しいはなししようや!!!

わたしは3月生まれなのですが、「お誕生日なので前から行きたかったいいお店に行ってみたい」とお友だちにお付き合いしてもらってスイーツバーにご一緒してもらいました。
自分で自分の誕生日を祝福しよう2020!

新地の似合う女になりたかったので年一くらいで着るドレス(前にも文フリに着ていったネイビーのサテンのやつ)を着てサロンで髪の毛をセットしてもらいに。

「え、めっちゃかわいい。すごいかわいい。きょうのわたしはめちゃくちゃかわいいのでは!? えっすごい! お姫様じゃん! ハッピーバースデーわたし!」

お姫様にしてもらえたのがうれしくていま思い出してもちょっと泣いてる。
自分にちょっと手をかけてもらうことであんなに楽しくて特別な気分になれて自信を持てるとは思いもしなかった……のでここを見ている方にはどしどしおすすめします。
2000円くらいからでお願いできますよ。



北新地のフィナンシェさま




あまりにも楽しかったので11月に「2020年を生き抜いて偉いお茶会」でウエスティンに行ったときにもパーティドレスでヘアセットをしてもらって「あましのの結婚式に出席してきた」って言ってました。
おめかし写真ははずかしいので載せない。笑



「かわいいお姫様たちのヌン茶タイムにお仕えする執事だよ。アスカさんもれんげさんももっとかわいいよ」
周くん「らいさんだけ人間じゃないのがシュールだけど特徴がよく出てるな」


わたしは(似合わないので自分では着ないけれど)ロリィタファッションが大好きなのですが、ロリィタさんたちのめいっぱい大好きなものでいっぱいのお洋服でおめかしして集まってかわいいお洋服の似合う場所へのおでかけを楽しんでらっしゃるライフスタイルはほんとうに素敵だなぁと思います。
ハレの場は自分で作るものなんですね、きっと。

創作関係で知り合ったみなさんがジャンルも嗜好しているものもみんなそれぞれに違ってもおしゃれや可愛いものが大好きでおめかしで遊びに行ったりお買い物に行ったりを楽しんでいただけるようになって、とっても楽しい。
お友達とは趣味が違うのでもっぱらおしゃべりがメインだったので、プラスアルファで楽しさを分かち合えたよう。もっと世の中の状況が落ち着けば行きたい場所がたくさんあるんだけどなぁ。


【書いた小説(オンライン)】
息抜きにぽつぽつと「ほどけない体温」のふたりの日常などを年中書いています。

ひとのうわさ
正確には2019年の書き収め。恋人のうわさ話にやきもきしたり、それでもひとさじばかりの優越感をおぼえたり。

世界をとめて
忍の耳、は初めて会った時から気にしているパーツなんですね。思い出してもらえたらうれしいです。ふたりの世界を切り取るのが好きなんだと思います。

especially for you
人たらしの彼氏の「特別」を持っているということ。忍は素直でいい子だな。

春の名前
愛の名前
自粛ムードがどんどん高まり、家の近所でお花と空の写真ばっかり撮っていた日々の中で書きました。
森山直太朗も歌っていたとおりの最悪の春で、こんなにも花が綺麗なことをどれほど残酷に感じたろうか。




とつぜんの贈り物
どんなに些細なものでも、それを特別で大切なものだと思えるのは愛情の証。

かわいい人
これも厳密には2019年だったかな。
周くんのこういうところがかわいいところ! ってわたしと忍は大盛り上がり。笑

グッドモーニングブルー
寝苦しくて目が覚めることが多かったのでいちゃいちゃしてもらった。笑

短いお別れ
これだけ「黒い犬」の番外編。もう出会えない人への弔いと祈り、残された魂がどんな風に「愛」に報いて生きていけばいいのかというのは繰り返し本編でも取り上げたテーマでした。

真夜中のラブレター
テキレボアンソロに二本目でお邪魔したもの。
大切な人が寄り添ってくれるともに生きてくれていることへの感謝と愛を「あたりまえ」にしないふたり。
この子たちはなんやかやで育ちがいいですね。

おうちのあかり
アンソロを公開してもらったのとすごくうれしいことがあって心から生きててよかったと思ったので(笑)ぴょんぴょん書きました。


あましのはわたしの生活と愛に基づいているので日々、何か感じたことや考えたこと、うれしい・愛おしい・大切だと思うことがあるとお話を書きたくなってしまいます。
そういった気持ちに寄り添ってくれる、「お話」を連れてきてくれる彼らのことを心から愛していられることは心から幸せなことだと思います。
あんまり読んでもらえてないっぽいのが寂しいんですけどわたしは何度も読んでるし(笑)、アンソロなどにお邪魔させてもらうと「仲良しでいいね」と皆様に温かく見守っていただけてとてもうれしいです。
来年もあましのは仲良しです!笑

これだけわたしの生活ととも彼らがいてくれること、小説を書くことは生きる喜びになっているからこそ、すごく元気が出ない時期が続いて何も書けないし書きたくなくなってしまったことがすごくつらかったし、また新しく書けるようになったことは大きな誇りになっています。
でもこうして数えてみると案外多かったんですよね。もっと元気なら倍以上は書いてたのかな。笑
(一時期は毎週書いてました)
(仕事がつらすぎて毎週新作を書くことを生きがいにしていたんです)



【参加したイベント】



2月23日 文フリ広島
★参加レポート★

これが最初で最後の直参でのイベント参加……。
コロナはどうやらものすごく恐れなければいけないものらしい、と自粛ムードが一気に広まり始めたころで、開催できるか・参加してもよいのかすごくハラハラしていました。
結果、欠席も多くて寂しい会場でしたが、盛り上がりはじゅうぶんありました。

文フリ広島は会場の過ごしやすさ・規模・程よいアットホーム感など、トータルでの居心地がすごく良くて手ごたえもばっちりあるので第二のホームだと思っています。
東京ではどうしてもアウェーなんだよなぁ。参加者が多すぎるからよっぽどの話題性がないと埋もれちゃうんですね。



はずかしいけど(お着物が)かわいいので見てみて。





 

「らいさん尾道で前泊していっぱい食べていっぱい歩いてすごく楽しかったんだって。来年は実駒さんといっしょにお泊り会しようねって言ってたんだけどちょっと難しくなっちゃったね」
周くん「尾道の土地勘ができたから今度はいろんなところに案内するんだって張り切ってたもんな」


遠征ついでの旅行は欠かせない楽しみですもんね。
正直来年の文フリ広島には……出られると思っていた……。(自粛期間にホテルを予約しましたがキャンセルしました)








楽しかったね、ってちょっと切なくなっちゃう。


5月18日~31日 Text Revolutions Extra
★参加レポート★



相次ぐイベント開催自粛に合わせて急遽開催されたオンライン同人誌即売会。
複数サークルにまたがる注文をまとめて受注→振り分け・発送の「お買い物代行システム」の実績のあるテキレボならではの新しい形での即売会を(5月に向けて本を作っていたであろうあまたのサークルの救済策として)このスピードで開催された決断力とパワーはひたすらすごかったと思います。
「テキレボ!? 新刊作らないと!」と動いていたみなさんのパワーも。
正直テキレボであんまり売れないし、とにかく元気のない時期だったので既刊の在庫が減ればいいなと申し込み、宣伝も最低限と消極的な割にほぼまんべんなく手に取ってもらえました。
ツイッターの宣伝合戦とWEBカタログでのチェックはもちろんですが、カート式通販でジャンル別にいろんな本をチェックできるのが新規開拓になったのかな?

とにかく元気が出ないし何も出来ない……本も読めないし小説も書けない……アンソロ、どうしたらいいんだろう……という時期ですごく弱気になっていた中、カツを入れてもらえた感がすごくあって助けられたなぁと思います。




「いいね!光源氏くん」のドラマと冬から始めたアクセサリー作りがひたすら癒しで救いでした。えむ先生、千葉くん、沙莉ちゃんありがとう…。
たくさん作りすぎたイヤリングはテキレボEXBOOTHで販売しております。




秋に出すアンソロの告知フライヤーを頒布できる場所ができてすごく助かりました。(アンソロの話は後述します)


9月
ブクハンセンダイプチ
エアコミティア133


どちらもリアルでは参加したことのなかったイベントですが、文フリ大阪をお休みしたので宣伝を頑張らないといけなくて。笑
どちらもリアルの場が奪われてしまったからこそみんなが楽しめるチャンスを! とすごく力を入れてくださっていて心強かったです。
ブクハンは毎日日替わりで宣伝させていただくのも楽しかった。
リツイートしてくださった皆さん、これを機に作品を知って手に取ってくださった皆さん、ほんとうにありがとうございました。

ただまぁ、エアイベント=自家通販への誘導ではいくらどれだけ自信がある本・新作があっても思ったように手に取ってもらうことは……ものすごくカリスマ性・人気・話題性がないと無理なようですねと実感もしてしまい……。

文フリ大阪に関してはしょうじきなところ、3月末の時点で無理だろうと覚悟していましたがやっぱりすごくかなしくていまだに心残りです。
「危ないからダメ!」と停止するばかりではなく、気を配りながら場を守り続けることに尽力してくださった主催者さま・参加者の皆様には心から感謝しています。
誰も不安を感じず、できればマスクをしなくても/みなさんと気兼ねせずにおしゃべりが出来るようになったころにはまたサークル参加できればなと思っています。

アンソロジーを企画しているんだから棄権するのは無責任だろうとも思ったのですが、たくましそうに見えるけれど不健康なので(笑)、リスクの高い人間はイベントに行くべきではないだろうと判断し、その分ウェブでの告知をすごくがんばりました。
ツイッターでの関連情報はこちらにまとめてあります


10月
KITAB2!に参加

厳密にいえばイベントではありませんがここで。
里見透さん、井中まちさん、祐太さんが主催の一次創作同人誌の宣伝・応援のデジタル冊子です。
春に発行された1号は見送りましたが、今回は秋の新刊があるのでエントリーしたかった。
ボリュームも読み物コンテンツもはるかにアップ! 熱気がたくさん、読み応えたっぷりの冊子に仕上がっていて、参加させていただけてとてもうれしかったです。
★2号のダウンロードはこちらから★

作る楽しさ・喜びを忘れずにいよう。そしてきっとまた会場で出会おう! という熱意と愛のあふれた、楽しくてあたたかな一冊になっています。





レイアウトが作品のイメージにぴったり! かわいくてうれしくなっちゃう。

通販が来たかというと……テキレボまで皆さん待ってくださっているんだろうし、参考にはなったんじゃないかな……笑

5月ごろ「印刷屋さんもピンチだからイベントがなくて通販オンリーでも同人誌を作ろう!」という盛り上がりがあり、個人誌の新刊はもちろん、アンソロなどを新たに急スピードで計画される人も多くて行動力に感動したものです。
とはいえ、あんなにもすごく熱を入れて宣伝したけれど通販オンリーで活動するのはどうやら自分には無理らしい、と実感させられたし、絶望感も感じました。
この状況でも新しい企画を立てたり予定通りの新作発表が出来た人は本当にすごいと思います。


12月5日 ちょこっとブックカフェ福岡
☆参加レポート☆

 



見本誌を作ること自体が久しぶりでちょっと泣きそうになっちゃった。

評判のいいイベントで人気も高い分、参加できるとは思っていなかったんですが、すてきな会場に本を並べていただくことができました!
念願のリアルなイベントで新刊を頒布できたこと、どちらも複数冊手にとってもらえたことがすごくうれしくて励みになりました。
来年には即売会の「ちょこっと文芸福岡」もブックカフェも両方開催されるそうなので、夏は苦手なので12月に遊びに行けるといいなぁ。


12月26日~3/21 テキレボEX2

 



あの全通販型同人イベントがパワーアップして帰ってきた!
秋の新刊を大型イベントで頒布できる機会がやっときた!!!!
というわけで、たいへん張り切っております。
午前三時の音楽は稲取09でお待ちしております。

★WEBカタログ★
☆ご案内ブログ☆
まさにきょうからですね! 楽しい出会いがたくさんあるといいな。



【作った本のお話】



カメラ=万年筆

文フリ広島の新刊でした。
心の中の息苦しさやひび割れた部分、目をそらしていたこと、心象風景の置き場のような本が作りたくて書きました。
写真とエッセイ、短い小説。

ここに収録している阿藤さんと嶋崎くんの高校生だったふたりの物語は本来ならきちんと『書くはずだったはずの断片で、そこに対して無理矢理に『終わらせた』形になります。
ずっと書けずにいたのは端的に言って、向き合うことが怖かったとしかいいようがありません。
いまになって振り返ればここに閉じこめた感情のすべてが色褪せたアルバムのようで、そうなれたことに、こうして形にした意味があるのだと思います。

わたしの好きなエッセイは寺尾紗穂さんの「彗星の孤独」です。




丘の上の教会に住む不思議な犬のおはなし

秋に発行予定のアンソロジー、「ダレンと5つの心の扉」告知のために作った折本。
これを作ってテキレボEXで頒布する! がおおきな目標で心のよすがになったところは多いにありました。
おはなしはこちらで読めます。




メンバーが決まった2月に実駒さんにお会いして「うちのアンソロのメンバー決まったんですけどやばくないですか!? どう考えても期待大でしょ!」ってドヤっていて(笑)
2月の文フリ広島の時にはPCが壊れていて告知が出せなかったのですが、4月ごろにテキレボEX合わせでやっと告知ができました。
何度でも言いますけど、このメンバーが集まったすごい企画を2か月黙ってたわたし、めちゃくちゃえらくないですか!?笑
フライヤーはまだすこし残部があるので通販の際などにお付けしております。




あいのゆくえ

ネットプリント企画「無会場文学祭」を見かけて参加するために。
zoomでかわいいガールフレンドりんちゃん(一年生になりました)とバーチャルデートする一夜のおはなし。
★データのダウンロード★
☆おはなし☆

zoom呑み絡みのBLをTwitterで複数読んで、この大変な状況下の中でみんながそれぞれに不自由ながら恋をして日々を生きていることに萌えたり励まされたり切なくなったりで情緒が忙しくって(笑)、「2020年のいま」を記録しておくのも意味があるかな、と思いました。
あましのとりんちゃんは薔薇園とえのすいには行けたのかな。




黒い犬

去年の秋からすこしずつ毎日書いていたお話。
もうひとりの主人公、ディディは六年ほど前に生まれたキャラクターなのでほんとうに長い時間をかけてたどり着いた物語だったと思います。

傷つき、立ち止まらざるを得なかった人が歩き出せるようになる物語が好きなのでそういった側面でもBLがすごく好きなんですが、BLで描かれる類の「人生を変える恋」とは異なった形の愛を描きたいと思いました。
または、「生きるための物語」がもたらすものについて。

発行までの時間があるため、下読みをお願いしました。(ちまちました文言修正以外ではあまり手を入れないほうなのでお話そのものはほぼ変わっていないのですが、誤字脱字や細かなミスをつぶすのに大変お世話になりました。ありがとうございます)
書いてから読んでもらえるまでのブランクが長い=本当の意味で手を離れてくれない寂しさが緩和されたこと、丁寧に作品に込めた意図をくみ取っていただけたことがすごくありがたく、自信につながりました。
物語を書き、送り出すこと。心を込めて送り出されたメッセージを受け取ること、「おはなし」に描き出された世界を通して作り手さんたちと心と心を交し合うことがもたらしてくれたものがわたしにはたくさんあって、「高梨來」として過ごした人生の宝物があったからこそ書けた大きな願いがこもったお話です。
作り手同士の距離が近い創作文芸の世界に自分の心地よい居場所を見つけられたからこそたどり着けた物語で、その完成までにこうしてたくさんのお力添えをいただけたことをすごく誇らしく思っています。




装画はツネぎくさんにお願いしました。
ツネぎくさんのどことなく異国風の洗練されたタッチがすごく好きで、彼らの姿がツネぎくさんの絵で見えたので原稿をお渡しし、「ふたりと犬の姿をそれぞれに描いてください」とリクエスト。
何点か構図やラフを考えてくださり、最終的に落ち着いたものがこちら。
受け手となってくださる方を少なからず傷つけてしまう可能性を孕んだセンシティブな要素のあるお話で(わたしの書く長編はたいていそうですね。笑)(ダメージを受けるので読んでる途中で手が止まる、を複数の方から言われたことがありますが、誉め言葉だと思ってうれしく受け止めています。笑)、そういった点を見事に汲んでいただけた素晴らしい装画をいただけて本当にうれしく思っています。

境遇の違う、それぞれに寂しさや不安を抱えて生きる「まだ出会っていない」ふたりの子供たちと痩せた黒い犬。寂しくて悲しいふたりの子どもたちが「生き延びた」その先で出会うところから始まる物語です。
彼らのような、そしてすべての人たちの苦しみや迷いに寄り添うことの出来る「贈り物」になることの出来るような本を作れたらと思いました。




最後の「彼」からのメッセ―ジを受け取ってもらえればうれしいです。




単行本に近いB6サイズ、一段組なのも「これ」でなければ意味がない、という想いがこもっています。

こんなご時世なので……と9月いっぱいまでWEB公開→取り下げを行ったのですが、ステキブンゲイ大賞にエントリーするため、全文を公開しています。




ダレンと5つの心の扉

黒い犬の中で主人公が大切な友だちに贈るために、と書き始めたのが「教会でみなの悩みを聞いてくれる黒い犬」のお話で、首にスカーフを巻いた黒い犬、は大切な友だち=ディディがモデルになっています。

執筆中に「このお話の設定をもとにいろんな方にお話を書いていただければおもしろいものが出来るのでは?」と思いついたのが1月過ぎ。
(そう、わたしは疲れすぎてプロットをたてるの放棄し、思いつくまま長編を書いていた)
ご興味をもってくださったフォロワーさんをお誘いし、ご快諾をいただけたことからプロジェクトを開始しました。




「お手伝いその1の参加してくれたみんなだよ」 
黒い髪の男の子が人間になったダレンの姿です。

シェアワールド的なアンソロジーなのもあり、まずはダレンとその家族の設定、時代背景や世界観などふまえてほしい部分の情報提示→足りない情報に関して質問を募集してみなさまと共有
という形でおのおの制作に取りかかっていただきました。
みなさま卓越した技術と発想力をお持ちの方ばかりなので、想定していたものをはるかに越えた驚きと喜び、そして何よりもの「物語」がくれるあたたかなぬくもりに満ちあふれた本をつくることができたと自負しております。
大切な作品をお預かりして本を作らせていただく、自分ひとりの中で描いた物語の世界でいっしょに自由に遊んでもらうという信頼と愛情を得られたことが本当にうれしかったです。
孤独の居場所がきちんとあること/「ひとり」と「ひとり」だったわたしたちにゆるやかな連携の場、繋がりあい・響き合う機会をもらえることが創作の喜びなんだなとあらためて思いました。


絵本や童話のような表紙にしたいな~と思っていたところ、ゆとさんが絵でも参加したいとおっしゃってくださったので装画をご依頼しました。
お願いした「ダレンと人間バージョンダレンの2ショット」を絵本風にアレンジして配置。
最近のファンタジー系のラノベやソシャゲにあるようなくるくるのカリグラフィー風のタイトルロゴがほしかったのでココナラ経由でさうら魎さんにロゴをつくっていただきました。

見本をお送りした上でアンソロジーの概要と「鍵と犬の肉球をモチーフに」とリクエスト
→数案のラフを出していただいた後、「ここをこうしてください」と僭越ながらイメージにより近づけるために修正のお願い
→完成・納品

初めての依頼でしたが、すごくイメージ通りでぴったりのものをお作りいただきました。
自分ひとりで出来ないことは依頼するといいと知りました。笑




糸綴じの中綴じ製本で古い手帳やノートをイメージ。



わたしは企画・編集に徹します、ということでスタートしており、お話ではなく「ダレンの親友が送った手紙」を書きました。
経年を感じさせるように紅茶染めした封筒に入っていて、シーリングスタンプもどきもグルーガンで作っています。



「お話に出てくるみんなだよ」

「いまを生きる子どもたちと、かつて子どもだった大人たちに贈るための物語」を想定して思い描いた「ダレン」のお話を、心から敬愛するみなさまのお力添えを得ることによって、作中だけではなく、現実の世界でもこうして形にさせていただくことが出来ました。
キャラクターや物語世界をふんだんに生かしてくださった「悩み」と、そこに寄り添ってくれるダレンの言葉の持つ力に是非本編で触れてみてください。




海岸行き

ペーパーウェル05のテーマが「旅」
それなら使えるな! と思いついて「カメラ=万年筆」に書いた嶋くんと恋人が海にいくお話。
(10年後の阿藤さんのことは本編でどうぞ)
置き去りにした青春の思い出を振り切る、過去にするためのちいさな旅。

☆データのダウンロードはこちら☆




あいのなまえ

「ほどけない体温」のほのぼの番外編。
なにもしたくない、しても仕方ないと落ち込んでいたんですが、落ち込んでるのに飽きちゃったんですねきっと。笑
イベントごとにあましの本を作っているので今回も作りたいな、作れるといいなと仮の予告を出していたのが形になりました。



「らいさん元気が出ないから励ましてほしかったんだってさ」
周くん「人間そういう時もあるとは言えさすがに見苦しいな」

つくづくひどい予告だ。笑


春の名前愛の名前真夜中のラブレターほか、書き下ろしがすこし入っています。

お互いの人生にかけがえのない相手がいる日々を慈しむ、ふたりの人生における「愛のある場所」についてずうっと書き続けている気がします。




いぬのはなし

作るつもりがなかったんですが、なんとなく書き始めてしまった「黒い犬」のディディのお話。
表題作は本編前のプロトタイプとして書きました。

運命は時に自分で選べるものではないけれど、「愛」に生かされてきた人が生きることを手放すことがなければ、その先で救いや希望を手にすることは出来るのかもしれない、という願いを込めて。




No body can,but you.

書くつもりぜんぜんなかったのにカタログ登録期限二日前になんだか急に元気になって。笑
いやちょっと、生きてて良かったと心底思うこと(=好きな作品がアニメ映画になった)(すばらしいクオリティで二週間の限定上映の間に3回見に行った。笑)があってめちゃくちゃ落ち込んでたはずが2020年でいちばん元気になっちゃったの。笑
毎日キャラソン聞きながら仕事してるの。(すごく励まされる)

まじめな話をすると、すごくすごく作品世界を大切にして愛してくださっている方たちがこの想定外のことだらけの2020年に心血注いで「すばらしい作品を送り届けよう」と形にしてくださったことにすごく感動したんですよね。
めちゃくちゃ勇気づけられたし、元気になったし、舞台裏のエピソードを聞いて感極まってすごく泣いた。(ほんとう)(うそついてどうするんだよ)

いまの自分が全力でやれる・やりたいものを作ろう、受け取ってくれる人に宛てて届けようという失いかけた気持ちが戻ってきたので全力で書きました。ちょっとずつ赤入れ修正などをしています。
久しぶりに本編の時間軸のふたりを書いてみたらいまみたいにほのぼの仲良しカップルじゃなくて新鮮にびっくりしました。(笑)
まだぎくしゃくしている時期のふたりを懐かしんでもらえるとうれしいです。

まぁR18なので万人におおっぴらにおすすめできるものではないんですけど(笑)そこでしか描けない・託せない切実なものがわたしにはあるので(きっと多くの人がそうで、わざわざ言うまでもないあたりまえのことだと思います)いままで読んでくださった・気持ちを寄せてくださった方がたくさんいらっしゃったのは伝えたいことが届いたその証だと思っています。
きっと受け取ってくださる方がいる、と信じられるからこそ本を作れるし、小説を書いて本を作ること=信頼と愛を得られることなんだなということを改めて実感しています。
そこに報いることが出来るようにならなければ、ということも。

ずうっと前に大好きなミュージシャンの方がust中継されていたライブ中にMCで「すごく良かった、と熱く話してくださった方の言葉を聞いた時、本気でやれば伝わるんだなっておもいました」と感慨深げに言葉を区切りながらお話してくださった場面をずうっと覚えていて、その言葉はわたしの中のかけがえのない指針であり、大切な宝物になっています。





総じて、絶望的にしんどくて、「ままならねえな」って脳内で百回はいったし、いまもそれは続いているけれどだいぶ元気になれてよかった、ということに尽きるのかもしれません。

つくづく痛感させられたのは即売会に出られない=発表する場所がないのなら本は作れないな、ということ。
なにも書けないし書きたくない、なにも出来ない、と痛感した10月頃、商業でお仕事をさせてもらっていないから本を身近な場所で手にとって貰えることもないし、アンソロや合同誌のお誘いがあるわけでもない=「すこし小説が書ける」だけなことがなんだかすごくつまらなく思えてしまいました。
もとよりコンスタントに新作を書けるわけではないので公募などははなから諦めているし、「自分の心を豊かにするため、心の拠り所になるため」の小説を書ける自分のことを誇りに思ってはいるのですが(そのおかげで随分生きるのが楽になったし)、「いまいちばん読んでほしい本が出来たのに思ったように読んでもらえない」状況はかなり精神的なショックが大きかったです。

WEBにあげた作品はリアクションがほとんどないのがあたりまえなので、楽しいけれど物足りないんですよね。
気が向いた時に書いて載せられる、という気楽さに救われているんですが、受け取ってもらえる喜びが圧倒的にすくない。
(シャイだから言葉にできないけれど楽しく読んでいるのに……という方がもしいらして、責められているように感じていらっしゃったらごめんなさい)
(あましのはわたしという読者がひとりで死ぬほど読み返しては心の中で拍手を連打しまくってるからそれでおおむねハッピーなんですけどふつうにさびしいってことくらい言わせて。笑)
「みんなに気軽に読んでもらえる場所においてあるのにリアクションがない」寂しさを埋めてくれるのが数々のWEB企画でした。
ほんとうに心から感謝しています。ありがとうございました。

また、リアルの場に集まることが困難になってしまった今年、エア即売会やWEBイベントには非常にお世話になりました。
「自分のTL」という情報を届けるには限定されてしまう場所からすこしだけ外に出て行くことが出来たのも、その結果新しい出会いに恵まれたのも、「通りすがりに会場で見つけて貰う」ことが出来ない中で、すごく頼りになりました。
宣伝はほんとうに難しいものですが、たくさんの人たちの力をお借りして自信と愛を込めて送り出したものがすこしでも琴線に触れていただけたことを願うばかりです。

今年読んで印象に残った本は森田真生「数学の贈り物」、ドミニク・チェン「未来をつくる言葉」、都甲幸治「世界文学の21世紀」です。



【2021年の目標】

まぼろしの2020年の文フリ大阪やりなおし
みなさん新しい本を作っていらしてすごいなと思うんですが、思い入れと愛がすごく重くある本をイベントという大きな舞台に出せないまま新たな本を作ることは出来ないし、「旧作」になってしまうのがどうしても嫌なんです。ので、突発本はすべて受注分しか作らない売り切りで、正規のナンバリングの新刊扱いでは自分の中ではありません。
テキレボで頒布出来たら気持ちも変わるのかな……正直わからないや。

服とアクセサリーはもう揃えてる! ネイルは考えてない!笑
とはいえ、このままでは来年の9月ですらまだ無理なような気がしている。


先行レビュー・下読み・解説・装丁デザインの受付
イベントはしばらく出られそうにないし(家庭の事情×不健康×興奮すると眠れなくなる ので総合的にリスクが高すぎると判断)、人様の作品づくりのお手伝いを名乗り出るのも悪くないのかなって。
覚悟がきまれば応募などをかけてみようかと思っているのですが、ある程度やりとりのある相互フォロワーさん、装丁以外は献本一冊でお受けしたいと思っています。

合同誌やアンソロは常にお誘いをお待ちしているのですが、滅多に誘ってもらえない時点で……うん。笑
アンソロを二回やらせてもらって「おもしろいことを一緒にしたい」という夢は叶えてもらったのですが、なにかおもしろい化学反応をおこせる場所に呼んでもらえるといいな、と夢見ています。
→詳しいご案内を載せました。☆こちら☆


小説を読んでもらいたい
それに尽きる。笑

書くことを生活の糧にしていない、しなくて済む=自身の心の安寧のために、誰からも強制されずにのびのびとお話を書いていけることの豊かさ、安らかさ、救いをあらためて感じるのとともに、ひとりで書いてひとりで届けることの限界や無力感にもさいなまれた一年でした。
書かなければ生きていけない、だなんてことはきっとすこしもないのだけれど、「書いて・読んでもらう」ことでしか癒せないこと、乗り越えられないことがわたしにはたくさんあります。
作ることはどうしても諦められないので、それならばこれからも作り続けるほかないし、「伝わる・受け取ってもらえる」ようなよりよいものを作れるように努力し続けるほかないのだろう、とも。
心を動かせるものを作りたい。いちばん大切なことはきっとそれだけです。


デザイナーズブランドの服がほしい
えっ、物欲の話!?笑
プチプラも古着も好きなんですが、こだわりと愛のつまった特別で憧れのお洋服を「手が届かない」とあきらめたままなのは違うよなって。
お通販でとっておきのお洋服を手に入れたのですがこのご時世もあって着られず…。
ひとまず年明けに開催のブランドの展示会に行きたいなと思っています。

わたしはこの美しい靴を買いに行きたくてすでにお金もためてあるのですが、このご時世で東京に行けないのがすごくつらい。


同人関係の展望は悲しいことに本当にないです。
(本編は未読だけれどあましのに親しんでくださっている)(そういう方は割とたくさんいらっしゃる。笑)お友達が「再録だそうぜ!」って言ってくれるのでわたしもそろそろほしいんですけど……どうしようかな。ワンブックスで自分用に一冊でいいかな。
(余談ですけど春と冬の自粛ムードまっしぐらな時に大好きな作品の総集編とファンブックが出てほんとうに生きる希望になりました。君は僕を動かすエネルギー!)
ここまで読んでくださった方はあましのという単語を初めて見た方でも(笑)全力で好きらしいと分かっていただけたと思うんですけど、誇張抜きで商業BLの推しカプと同程度に好きです。
ので、来年も元気にぴょんぴょん彼らを愛して、あましのでもそうじゃないものでも「これこそ読んでもらいたいお話だ!」と誇りにもてるものを書きたい、がいったんの目標でいいかな。

わたしは自分の人生をよりよくしていくために物語を書いていて、いまはっきりとそういえることにも誇りを持っています。(何年も前はそうではありませんでした)
よりよいものを作りたい、自分を救ってくれた、支えになってくれた芸術から受け取ったものに出会えたことで得たものをきちんと形にしたい、「愛」に報いることのできる自分でありたいと思っています。
叶うことならば自分以外の人にとっても救いや希望になれるようなものを作っていきたいし、その気持ちを忘れないでいればきっと大丈夫なんじゃないかな、とも。

小説を書くことを続けた先で「わたしはもう悲しくない」といえるいまにいること、それが何よりも大切なことです。
来年の今頃もそういえるように、自分なりに頑張っていければと思います。
そしてすこしでもあなたの心の中に居場所を作れるような作品を送り届けられるようになりたいです。

ここまで読んでくださってありがとうございました、感謝と愛をこめて。





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